
市原市長の小出譲治です。
私が紹介する『「もっと前へ」な一冊』は、『更級日記 日記に綴られた平安少女の旅と物語への憧れ』濱野 京子∥著 佐竹 美保∥絵(岩崎書店 2016.3 ストーリーで楽しむ日本の古典 12)です。
この本は、市原市に転校してきた少学6年生の女の子が、五井駅前の菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)像を見て「誰だろう?」不思議に思い、中央図書館のレファレンスカウンターで訊いてみるところから始まります。
図書館で出会った女性に、有名な日記文学の「更級日記」について教えてもらいながら物語は進んでいきます。
「更級日記」は、菅原孝標女が上総国から京の都への旅立ちの場面から始まりますが、孝標女は少女時代を、ここ市原市で過ごしていたというご縁があります。
「更級日記」を初めて読むと、私たちが日常使っている言葉とは違う言葉遣いで書かれているので、難しく感じるかもしれません。
この本は、小学生でも読みやすいように物語仕立てで書かれています。
子どもから大人まで楽しんでいただけると思います。
今年は、菅原孝標女が市原市、かつての上総国から京へ旅立ってちょうど千年の節目の年です。市原市では、この節目を記念して「更級日記千年紀文学賞」を創設します。
菅原孝標女は昼夜を問わずに源氏物語を読みふけったという大変な文学少女でありました。
文学を通じて皆さんに新たな発見や、市原市への誇りと愛着が生まれることを期待しています。
まずは「更級日記」がどのような本か、とても読みやすい『更級日記 日記に綴られた平安少女の旅と物語への憧れ』を、私の「もっと前へ」の一冊としておすすめいたします。
秋の夜長に是非、お読みください。