『安岡正篤 心に残る言葉』藤尾秀昭∥著(致知出版社 2011)
明治生まれの父は小学卒の学歴も持たぬ身で苦学し旧制高校の教員資格まで取得した。その父の自慢が安岡正篤師の金鶏学院最後の直弟子として立派な箱に収められた卒業証書を持っていたことである。
折に触れて安岡先生の本を読み言葉に触れてきた。里山の活動もコロナ禍の中で様々な制約を受けなければならなかった。書斎に籠り安岡先生の言葉に触れると改めて己の愚かしさに身が縮む。
先生の言葉の中に「賢は賢なり愚は愚なりに一つのことを何十年と続ければものになるものだ」という教えがある。こんな言葉に励まされながら、日々の継続こそが大切と土の中に向かうのである。安岡先生の言葉とともに励まされた言葉がある。昨年の夏コロナの影響で各種の行事が軒並み中止になった。私たち小湊鉄道沿線のボランテイア最大の行事である「菜の花プロジェクト」も中止が検討された。そんな中で観光振興課の若い職員が「種を蒔かないと花が咲きません」といって何とか工夫して種まきを実行し今年の春も多くの人に菜の花を楽しんで頂いた。「種を蒔かないと花は咲かない」安岡先生の言葉に匹敵するくらい心に響いた言葉である。